お知らせ

2月15日は涅槃会(ねはんえ) ③

「娑羅双樹 (しゃらそうじゅ) の花の色 盛者 (じょうしゃ) 必衰の理 (ことわり) をあらはす」は『平家物語』の冒頭として知られていますが、お釈迦様は二本の沙羅双樹の樹の下で入滅されました。

 

マッラ族の沙羅林の中で二本並んだサーラ樹(沙羅双樹)の間で、修行完成者の完全な死が起こるであろう。

中村元訳「ブッダ最後の旅」
岩波文庫版 128頁

 

この後、お釈迦様は涅槃(ニルヴァーナ)に少しずつ向かいます。取り囲む人は皆悲しみますが、お釈迦様は弟子の一人であるアーナンダに向けて、次のように語りかけます。

 

やめよ、アーナンダよ、悲しむな、嘆くな。アーナンダよ、
わたしは、あらかじめこのように説いたではないか、
すべての愛するもの、好むものからも別れ、離れ、異なるに至るということを

中村元訳「ブッダ最後の旅」
岩波文庫版 146頁

 

この後、お釈迦様は一人の遍歴行者スパッダと真理について言葉を交わし、改めて真理を教えます。スパッダは、同じ行者たちの智をお釈迦様が認めないのかと尋ねます。

 

スパッダよ、いかなる教えと戒律とにおいても、
尊い八支よりなる道(八正道)が存在すると
認められないところには道は認められない。

中村元訳「ブッダ最後の旅」
岩波文庫版 160頁

 

そして入滅を前にし、お釈迦は次のような言葉を遺します・

「さあ、修行者たちよ、お前たちに告げよう、
『もろもろの事象は過ぎ去るものである。怠ることなく修行を完成なさい』と」