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漆の話(1)漆精製①

私たち宗教用具業界は様々な素材を使いますが、その代表的なものが漆です。

 

漆は国産の漆と中国から輸入される漆があります。日本国内の主要な漆産地は岩手県と栃木県で、岩手県の漆は浄法寺漆と呼ばれよく知られています。中国の漆の産地は湖北省・四川省・貴州などです。

明治時代以降、日本の漆産出は減少し中国からの漆輸入は拡大しますが、日本の漆不足は江戸時代からすでに始まっており、中国のの漆は日本の漆芸産業を長く支えてきました。

文化庁は平成15年に国宝、重要文化財の修復は国産100%の漆を使うのが望ましいという通達を出したことにより、日本産の漆生産の追い風となり、前述の岩手県、栃木県の他、全国で漆樹の植樹が進み、福島県会津若松、石川県能登半島や京都府丹後地方でも漆液の採取と精製がすでに始まっています。

 

漆樹から採取された状態の漆を「あらみ漆」と呼びます。あらみ漆にはゴミなどが入っています。樽に入った漆はラップが掛けられていますが、このラップを剥がし、ヘラでかき混ぜると、漆ならではの香りが一面に漂います。

この「あらみ漆」に熱をかけて水分と飛ばす作業を「くろめ」、攪拌しながら漆の艶を出す「なやし」が行われます。

 

(写真は福井県内の漆業者の工房内写真)